CDを認識しないCDプレーヤーを修理する

概要

20年ほど前に購入したKENWOODのミニコンポAvino PRO-7。CDプレーヤーのDP-7PROが何度調整してもCDを認識できなくなり、自分で修理できないかネットで調べてみるとレーザー部品の交換やコンデンサの交換で復活した例がいくつか見つかった。
レーザー交換など、あれこれ試行錯誤したが、結果、一部のコンデンサの交換だけで直るものだったらしい。
※DIYで修理することをお勧めしているわけではごさいません。
古いCD-Rも最後まで再生できるようになった
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手順

1.現象確認

CDを入れるとCDが回り出し、「キュキューっ」って音がしてCDを読み始めそうになるけど、ディスプレイには「no dISC」と表示されてしまう。
「昔は読めたんだけど今は読めない」みたいな、老眼世代の私たちと通ずるものを感じたので、最初にレーザーや焦点を合わせるサーボを疑ってしまった。
CDは入っているけどno dISC

2.CD読み取り用のレーザーの劣化を疑う(ハズレ)

無駄な作業に終わったが、レーザーダイオードはデリケートな部品だそうで、徐々に読めなくなった経緯から、きっとこれが少しずつ弱ってきているのだろうと思い、まだCDが読めるけど使わないDVDドライブからCD用のレーザーを取り出して交換してみた。
昔使っていたDVDドライブから部品取り(結構大変だった)
レーザーだけ交換(ものすごく大変だった)

3.レンズを動かすサーボの劣化を疑う(ハズレ)

レーザー交換前と交換後で全く挙動が同じなので、CD読み取り時の焦点を合わせるサーボが弱っているせいではないかと思い、交換部品を調べてみた。
多くのCDプレーヤーで使われていた一般的な部品(ユニット)だそうで、Amazonでフツーに売られていた。
無駄な出費に終わったが、需要があるということは「交換が必要なケースが多く、交換することで直るケースが多い」と判断し、早速入手した。

ぜいたくな梱包を紐解き、型番を見るとKSS-213Bだった。今まで付いていたのがKSS-213Cなので気になったが、BでもCでも同じように使えるらしい。
ここに見えている半固定抵抗をいつもグリングリン回して調整していたが、工場出荷時に調整された状態から動かしてはいけないものらしい。(レーザーが破損するらしい)
左が購入したピックアップ
静電気によるレーザーダイオードの破損を回避するために、搬送時は一部ハンダブリッジによりショートしている個所があるので、このハンダを除去してから取り付けないとレーザーが灯らない。
知らずにそのまま装着すると、せっかく投資したにもかかわらず、全くCDが回らなくなるなど挙動が悪化し、額に汗が出るほど焦るので注意が必要である。
右端のハンダがこんもりしている部分を除去する
何度も分解しているとだんだん慣れてくる

4.コンデンサの劣化を疑う(アタリ)

ピックアップ交換前と交換後で全く挙動が同じなので、先人の知恵にあやかり、コンデンサの交換を試みた。
電解コンデンサは経年劣化が激しいそうで、手元にある30年以上前の部品は使わない方が良いみたい。個々に買うより、詰め合わせのほうが安く売っているのを知り、早速入手。

電解コンデンサは経年劣化が激しいので、使う分しか買わない方が良いとわかっているが、お買い得だと「いつか使うだろう」と、ついたくさん買ってしまうので注意が必要である。
調子に乗って金属皮膜抵抗も買ってしまった
CDドライブ部分の基板に付いている小さな電解コンデンサを全て交換する。チップ型の部品なので、基板のパターンをはがさないよう、ハンダごてを当てながらピンセットで丁寧にはずす。
無理に取ろうとするとパターンが剥離する
元の部品がチップ型なので、新しいコンデンサは予め足を切り、ハンダを少し付けてから取り付ける。
同じ容量の部品に置き換える、表は6個。
裏は2個だけ。新しいコンデンサがたくさん余った。
組み立ててCDを入れるとフツーに動き出した
コンデンサを交換してCDを入れると意外にもあっさりとCDを認識してくれたが、古いCD-Rだと選曲ができず、やがてno dISCになるので調整が必要みたい。

5.微調整

CDドライブ部分の基板の裏にある3つの半固定抵抗もグリグリいじり回していたので、細かい調整が必要だということは判ったが、簡単ではないらしい。
調整用コネクタから出ているRF信号を、オシロスコープで見ながらやるとよいそうなので、屋根裏部屋から20年以上使っていなかった岩通のオシロスコープを出してきて繋げてみた。
DP-7PROの底には調整用のフタがあるので繋ぎやすい
何がどうなれば良いのかわからないが、各々の半固定抵抗を調整ドライバーでちろちろ回していくと、「いい感じ」の波形になったので、試しに最後まで聴けなかった古いCD-Rを入れてみた。
きつかった後半の再生も問題なくできるようになったので、調整を終わらせた。

6.電源OFF時の「チーッ」っていう発信音を止める

このCDプレーヤーはスイッチがOFF(正確にはスタンバイ)の状態でもCDドライブの基板に給電されていた。スイッチをONにすると何も音はしないが、スタンバイにするとCDドライブの基板辺りから「チーッ」という発信音のような異音がしてうるさいのである。
小手先の対策と思われるが、セラミックコンデンサ(0.0082uF)を一つ入れることで異音は解消している。
なぜかここにコンデンサを付けると静かになった
今回、ピックアップも「予測交換」できたので、「そのおかげであと10年は使えるようになったのだ」と思うようにした。

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