音が出ないサンスイのアンプAU-D607Xを修理する

概要

スイッチをオンにしても、POWERのランプがチカチカ点滅したまま全く音が出なくなったサンスイのアンプAU-D607Xを直してみた。
古いアンプだけど、意外にもネットに修理に関する情報がいくつかあり、部品交換はしていないけど、多少のメンテナンスで音が出るようになった。
※DIYで修理することをお勧めしているわけではございません。
PROTECTORモードから数年間抜け出せないAU-D607X。
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手順

1.よくある原因を調べる

若いころ「自分だけは歳をとっても毎日洋楽を聴いている」と信じていたが、アンプが壊れてここ数年、困ることなく過ごしている。しかし、思い出したかのようにTOTO(便器のメーカーではなくアメリカのロックバンド)を聴きながら入眠したくなったので、どうしてもアンプから音を出したくなった。
入眠を妨げない小さな音量だけど、ハッキリと何が演奏されているのかがわかるくらいの微妙な音が好きで、これはヘッドホンでは再現できない。

会社に入って数年目のころ、当時の上司から譲っていただいたサンスイのAU-D607X、すでに30年が経過していたとは意外。古い機器は同じようなところが故障するものなので、先人の知恵にあやかりたくネットで調べると、同じような症状、その直し方などいくつも見つかった。PROTECTORモードが解除されない場合、以下のような原因が考えられるらしい。
 1.アンプの前段にあるFETがダメになっている
 2.一部の半固定抵抗がダメになっている
 3.ハンダ付けがイモハンダ状態で接触不良

2.故障個所の特定

思いつきなので「費用をかけずに直せるのであれば直そう」という感じでスタート。

割とスッキリした中身。やはり山水のトランスは神々しい。

向かって右側の基板に、横に刺さるような格好で実装されているサブ基板が、よく問題が起こるらしい前段のFETがある基板。その基板を中心にちょっと刺激を与えて通電。
(年寄りはついやってしまう「テレビは叩くと直る」的対処法)

荷重をかけず、振動を起こす感じで基板を叩いた後に通電。

3回目だか4回目に、しばらく待つと保護回路のリレーが「カチッ」となった。FETや半固定抵抗を交換しなくても良さそうな感じ。音が出るはずなので、その辺に転がっているスピーカーを繋ぎ、更に振動を与えて故障個所を絞り込む。

左右各々繋いで故障個所の絞り込み。

振動を与えると、「ガリッ、ガガリッ」と激しいガリ音が出る。最もガリが出やすいところの近辺に接触不良の部品があるはず。でもよく見えないので、どこが悪いのかわからない。

仕方がないので、数か所ずつハンダごてを当て、ガリの再発確認を繰り返す。前段に、とても高温になるFETがあり、その近くの電解コンデンサにハンダごてを当ててからは基板を叩いても「ガリッ」とならなくなった。そこだけではなかったかもしれないが、そこがイモハンダ状態で接触不良だったことは間違いない。

この辺に問題があったらしい。すごく高温になる個所だった。

ちなみに、ハンダごては30Wのが良いらしいが、わたしのは33年前に買った15Wの細くて先のとがったやつ。電子工作などプリント基板のハンダ付けは、この細さと温度がちょうどよいと思い込んでいる。随分長く使っているが、コテ先は換えてない。

3.故障個所の修理

故障個所の特定ができた時点で今回の目的は達成だけど、ボリュームのガリと、左右バランス調整ボリュームの引っ掛かり(スムーズに回らない)も気になっていたので、接点復活剤を使って手当てする。

これは35年前から家にある。

古い電気製品にはとりあえず接点復活剤。だいたい何か良いことがある。

バランスのボリュームがスムーズに回った。

ゴリゴリ感があり、スムーズに回らなかったバランスボリュームも、接点復活剤を吹き付けてぐりぐり回しているうちにスムーズに回るようになった。

4.試聴

ボリュームのガリがなくなったので試聴してみる。やっぱり、温かみがあって、音の粒度が細かくて、音の伸びが良くて..
同じ曲でも、ヘッドホンでは再現できなかったあのころの記憶(感覚)がよみがえってくる。

アンプの下の部分にSONYのSS-S10のスピーカーが入っている。
使わなくなった中段の音源やエフェクターは装飾品になっている。

最近は音質にこだわりもなくなり、スマホに入れたMP3で全く問題なく楽しめるので、使わなくなった古いスマホ(HTCのX06HT)がプレーヤー。ヘッドホン出力をアンプのLINE入力に直接つなげているが、特に問題なく再生できている。32GBのSDカードいっぱいに入れた洋楽を、エンドレスでBGMにすることが多くなった。

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